多岐にわたる雇用保険の給付の種類
2024年5月22日
前回の記事で雇用保険の適用拡大についてお話しましたが、基本手当(失業保険)など耳にしたり、実際に給付を受けた方もいらっしゃるかもしれません。
今回は様々な雇用保険の給付についてお話していきたいと思います。
【目次】
・雇用保険の加入要件は?
・給付の種類
・それぞれの給付の詳細
・まとめ
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・雇用保険の加入要件は?
前回の記事で加入要件を記載していますので詳しくはコチラをご覧ください。
・給付の種類
雇用保険で受けられる給付は多岐にわたりますが、しっかりと把握し活用されている方は少ないかもしれません。
現在の雇用保険の給付は大別すると以下の通りです。
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 求職活動支援費
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
・それぞれの給付の詳細
- 求職者給付
・基本手当(失業保険):求職者のために期間限定で一定の手当を支給して、生活の保障と再就職の支援をする制度
・技能習得手当:技能習得手当は、公共職業訓練を受講する際に、基本手当に加えて支給される手当の総称で、受講するともらえる受講手当と交通費としてもらえる通所手当があります。
・寄宿手当:失業期間中に公共職業訓練を受講することが原因で、生気を維持している同居の配偶者や親族と別居せざるを得ない時に宿泊費として支給されます。
・傷病手当:基本手当の受給資格者が疾病や負傷により、労働力を一時的に喪失しても、その期間が15日未満であれば、通常と同じく基本手当を受給できますが、15日以上の時は、基本手当が傷病手当に変わります。
・高年齢求職者給付金:65歳を超えた人が離職してしまい、労働の意志と能力を有するにもかかわらず、職業につくことが出来ない状態のときに受け取れる給付金です。
・特例一時金:期間限定や季節限定の仕事など、雇用期間が1年未満である仕事に就く人は、基本手当の受給資格を満たせません。
その場合は雇用保険制度では、短期雇用特例被保険者となり、失業時には基本手当の代わりに特例一時金が支給されます。
・日雇労働者給付金:日雇労働者や30日以内限定で雇用される労働者が失業したときの給付金です。
- 就職促進給付
・就業促進手当:基本手当の受給期間中に就職が出来て、受給期間が規定の日数分残っている人を対象とする給付金で、再就職手当、就業促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当があります。
・再就職手当:失業保険の受給期間中に就職したことで、失業保険の給付日数が残った時に受けられる手当で、給付日数が残り2/3以上と残り1/3以上とで再就職手当の料率が異なるので注意しましょう。
・就業促進定着手当:再就職手当を受けた人が、その再就職先の企業に6ヵ月以上雇用されて、その間の賃金が前の企業の賃金より低かった時に受けられる手当です。
・就業手当:再就職手当の支給条件に当てはまらない人で、基本手当の給付日数が1/3以上残った時に受け取れる手当です。
・常用就職支度手当:身体障害者、知的障害者、精神障害者、65歳以上の高齢被保険者のような就職困難者が安定した職業に就いたときに受け取れる手当です。
・移転費:ハローワークが紹介した企業に就職したり、公共職業訓練を受けるために、引っ越しせざるを得ない時に受けられる費用です。
- 求職活動支援費
・広域就職活動費:受給資格所が広範囲な地域にわたって、就職活動をするときに受け取れる活動費です。
・短期訓練受講費:雇用保険の受給資格者が再就職のために、1カ月未満の教育訓練を修了したときに受け取れる費用で、既に支払った教育訓練費の20%が戻ってきます。上限は10万円です。
・求職活動関係役務利用費:企業説明会、筆記試験、面接などの就職活動、もしくは公的職業訓練の受講のために認可保育所、認可幼稚園、認定こども園などの保育サービスに子供を預けたときに受け取れる費用です。
- 教育訓練給付
・一般教育訓練給付金:雇用保険の被保険者期間が3年以上ある在職者や離職者が、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了したときに受け取れる給付金です。
・専門実践教育訓練給付金:雇用保険の被保険者期間が3年以上ある在職者や離職者が、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を受講、もしくは終了したときに受け取れる給付金です。
※一般教育訓練と専門実践教育訓練の違いは訓練期間の長さです。一般教育訓練は1年未満である訓練ですが、専門実践教育訓練は1~3年の訓練となります。
・教育訓練支援給付金:専門実践教育訓練給付金を受け取る45歳未満の離職者で、基本手当の支給条件を満たさず、基本手当が受け取れない人が対象です。
- 雇用継続給付
・高年齢雇用継続給付金:雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、60歳時点と比べて賃金が75%未満に下がった時に受け取れる給付金です。詳しくは過去記事まで
・高齢者再就職給付金:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人が再就職したときに受け取れる給付金です。ただし、1年以上の雇用が前提である場合のみです。
・育児休業給付:育児休業で賃金が80%以上支払われない時に受け取れる給付金です。詳しくは過去記事まで
・介護休業給付:介護休業で賃金が80%以上支払われない時に受け取れる給付金です。詳しくは過去記事まで
・まとめ
いかがでしたでしょうか。
あらゆる給付があることがわかりましたが、それぞれの給付を受けるためには受給要件を満たしていなければなりません。そのためには雇入れ時や労働条件の変更時等、しっかりと手続きを漏らさないようにしましょう。
雇用保険に限らず、それぞれの手続きの煩雑さを解消するためにぜひ社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご相談ください。