グローバル化する課税逃れ
2023年3月16日
札幌のAimパートナーズ総合会計事務所です。
最近では社会のグローバル化にともなって富裕層にしろ企業にしろ、海外を使った課税逃れが増えています。
海外に移住することも珍しくなくなった昨今、海外を使った課税逃れをご紹介します。
【目次】
◆ タックスヘイブンとは
◆ 課税逃れ、資産隠しの事例
◆ おわりに
◆ タックスヘイブンとは
タックスヘイブンとは税金がほとんどかからない国や地域のことをいいます。
海外を使った節税や脱税でもっともオーソドックスな方法は海外に居住地を移転することです。
世界のおもなタックスヘイブンはこちらです ↓
・香港
・シンガポール
・リヒテンシュタイン
・スイス
・ルクセンブルク
・マルタ
・ジャージー
・ジブラルタル
・アイルランド
・英領バミューダ諸島
・英領ヴァージン諸島
・パナマ
・バハマ
・英領ケイマン諸島
・ドミニカ
・グレナダ
・アメリカ(デラウェア州・ネヴァダ州)
◆ 課税逃れ、資産隠しの事例
日本の所得税は、海外に居住している人に関して、日本からの収入にのみ所得税がかかります。
ですので日本からの収入が無い人は日本の所得税がかかりません。
もちろん海外転居先ではその先の税法に従いますので現地で所得税を払うケースもありますが、前述の通りタックスヘイブンではほとんど税金がかからないということになります。
所得税が無税とまではいかなくとも単に日本と比較して所得税が安い国はたくさんありますから差額だけ安くなるケースもあります。
しかし非居住者として認められるにはただ住民票を移すだけでは当然ダメです。
諸々の要件を満たしたうえで生活や仕事の実態が海外でなければなりません。
そのうえで日本の所得税や住民税がかからなくなります。
過去、小泉純一郎総理の時代に総務大臣だった方も本当は日本で生活しているのに外国に住居を移して住民税を払っていない疑惑をかけられた方もおりました。
住民税は市区町村が徴税しますので納税者の生活実態まで確認してときには追跡することは難しいのが現実でしょう。
タックスヘイブンは税金が安いだけではなく、秘密資産の隠匿場所としても利用されます。
「パナマ文書」や「パラダイス文書」も聞き覚えのある方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
最近ではOECDの策定により各国が参加して互いの国の国民が海外に預けている資産について一定の条件の下で開示するようになっています。
海外隠し資産も今後は各国の協力体制により大分把握できるようになっています。
下記は参考までに。
・アップル(実効税率9.8%)
・amazon(年間売上10兆円以上、支払税額200億円程度)
etc‥‥‥‥
◆ おわりに
日本では5,000万円超の海外資産を持つ人は「国外財産調書」の提出が義務付けられています。(罰則有り)
「移転価格税制」という制度も取り入れられています。
これは簡単に言うと海外に子会社がある企業が不当な取引をしてタックスヘイブンなどの国にグループの利益を移転した場合、取引額を妥当な額に修正して税金の計算をしなおす、という制度です。
移転価格税制をめぐっては「適正な取引額」というもの自体の認定が難しいため企業と課税庁が争う事案も多くみられます。
良品企画、ホンダ、三菱商事、三井物産etc‥‥‥‥
海外への移住などをご検討の方もご注意を!
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