取扱に困る空き家問題
2023年3月20日
Aimパートナーズ総合会計事務所です。
相続した親の家などは相続人が住むアテがなければ賃貸するか、売却するかしなければ多くは空き家になってしまいます。
人口が増加し続ける世の中では不動産は資産として十分に魅力があり活用できる資産と言えたのでしょうが、人口が減り続けることが明確な現在では必ずしも資産とはいえません。
そこで売却を検討する際に問題となるのが税金の問題です。
空き家を売却した際の税金と、2016年に税制改正で創設された空き家の譲渡に関する特例を見ていきましょう。
【目次】
◆ 空き家の売却にかかる税金
◆ 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除制度
◆ おわりに
◆ 空き家の売却にかかる税金
通常、不動産を売却した場合には、売却価額から物件を取得した際の取得額、譲渡の際にかかった譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた額が譲渡所得とされ、譲渡年の1月1日時点において
① 短期譲渡(所有期間5年以下であれば所得税と住民税を合わせて39.63%の税率)
② 長期譲渡(所有期間5年超であれば所得税と住民税を合わせて20.315%の税率)
となっています。
空き家の場合はほとんどが長期譲渡だと思いますが、例えば相続で取得した場合など親の代、あるいはご先祖様の代から代々所有してきたような家であれば当時の取得額を確認するための売買契約書などが見当たらないこともままあります。
税法上は、取得額が不明の場合は原則一律で売却価額の5%が取得費として計算されます。
そうなると売却価額のほとんどが課税対象となり、多額の譲渡所得税がかかることとなってしまいます。
こういったこともネックとなり空き家がそのまま放置されことに・・・・・・・
◆ 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除制度
国は2016年の税制改正で、相続で取得した空き家の譲渡の際には一定の要件を満たす限り譲渡所得から最高3,000万円の控除を認めるという制度を創設しました。
この控除が利用できればかなりの税金の軽減となります。
しかしこの特別控除の要件は大変複雑で、かつすべてを満たしていないと控除が受けられないため注意が必要です。
① 対象となる空き家の譲渡時期
相続発生後3年を経過した日の属する年の12月31日までの譲渡
② 旧耐震制度で建築された空き家(1981年「昭和56」年5月31日以前に建築された空き家)
国は耐震に関して危険性が高そうな空き家を優先的に解決しようと考えています。
③ 被相続人が1人で居住していた家
相続人と同居していた場合などは認められません。
④ 相続発生から譲渡までに賃貸に用いられていない家
あくまでも空き家が対象であるため賃貸などに出されていたものは×です。
⑤ 一億円以下での売却
高額な物件は対象となりません。
上記に加え、名義が共有の場合や現状のままの売却や更地渡しの際には気をつけるべきルールがあります。
◆ おわりに
上記のように複雑な制度ですが、活用できれば税金の負担は大きく変わります。
ご自身が抱える空き家にこの特例が使えるかどうかしっかりと検討しましょう。
売却できるかどうかは相手があってのことですので何とも言えませんが、もし売却が困難であっても自治体などが運営している「空き家バンク」なども利用してみてはいかがでしょうか。
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