労働条件通知書のルール改正~内容や明示のタイミングについて~
2023年11月9日
前回は労働条件通知書の明示事項について学んでいき、2024年4月にルールがあると記載しました。今回はそのルール改正の内容について詳しく学んでいきたいと思います。
・改正の内容って?
・就業場所、従事すべき業務の「変更の範囲」について
・更新上限の明示と新設、短縮する際の明示
・無期転換申込機会の明示と無期転換後の労働条件の明示
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・改正の内容って?
2024年4月から、労働契約の締結のタイミング、有期労働契約の更新のタイミングで、労働条件として明示すべき事項が追加されることとなりました。
今回の改正により追加される内容は以下の通りです。
新たに追加される労働条件明示事項:明示のタイミング
- 就業場所・従事すべき業務の「変更の範囲」:すべての労働契約締結時、有期労働契約の更新時
- 更新上限の有無と内容:有期労働契約の締結時・更新時
- 無期転換申込機会:無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時
- 無期転換後の労働条件:無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時
詳しくはコチラ
・就業場所、従事すべき業務の「変更の範囲」について
「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の内容を指しています。
たとえば、業務内容が限定されている労働者については、雇い入れ直後の内容と変更の範囲は同じ業務内容を記載します。
業務内容が限定されていない労働者については、雇入れ直後の内容と変更の範囲を労働条件通知書に明示することが必要になります。
労働条件を明示するタイミングは、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、「すべての労働者と労働契約を締結するとき」と「有期労働契約を更新するときごと」となるので注意が必要です。
・更新上限の明示と新設、短縮する際の明示
更新上限とは、有期労働契約の通算期間または更新回数の上限のことを指し、たとえば「通算契約期間2年まで」「契約更新の回数3回まで」と明示することになります。
また、有期労働契約の締結と契約更新において、下記のいずれかの条件とする際、有期契約労働者に対し、有期労働契約の「更新上限を設ける理由」または「更新上限を短縮する理由」をあらかじめ説明することが必要になります。
- 最初の契約締結より後に、契約上限を新たに定める場合
- 最初の契約締結の際に設けていた契約上限を短縮する場合
説明する内容は、契約更新の上限を設けた理由、有期労働契約の更新回数を短縮する理由となりますが、詳細は公表されていません(今後公表されるかもしれません)。
いずれにせよ、後出しする労働条件については、背景等を労働者にきちんと説明をしないと、労働者は納得しませんので、とても重要な改正の1つといえます。
・無期転換申込機会の明示と無期転換後の労働条件の明示
今回の改正により、「無期転換を申し込む権利」が発生する契約更新のタイミングごとに、「無期転換を申し込むことができる旨」の明示が必要になります。
つまり、無期転換を申し込む権利が発生した有期契約労働者に対し、「あなたは無期転換できますよ」と明示してあげることになります。
また、同じタイミングで、「無期転換後の労働条件の明示」も必要になります。
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いかがでしたでしょうか。
今回は以前のコラムをより深堀して学んでいきました。来年4月のルール改正に向けて、あらためて無期契約労働者の定義、労働条件等の処遇の整理、転換制度などを見直す時期かもしれません。
ぜひこの機会に社会保険労務士法人Aimパートナーズへお問い合わせください。