【解説】運送業(自動車運転の業務)の2024年問題とは?
2023年12月26日
前回の建設業の2024年問題に引き続き、今回は運送業(自動車運転の業務)の2024年問題について解説していきたいと思います。こちらも建設業と同様に「働き方改革関連法」の猶予措置が5年あった業種で、2024年3月末で期限を迎え、時間外労働の上限規制が適用されるようになります。
建設業の2024年問題についてはこちらをご覧ください。
・今までの時間外労働の上限は?
・上限規制後は?
・罰則は?
・上限規制後の他業種との違いは?
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・今までの時間外労働の上限は?
今までの運送業(自動車運転の業務)は、建設業と同様に時間外労働の上限はなく、36協定を締結していれば制限なく残業させても労働基準法違反にはなりませんでしたが、2024年4月以降は、一般企業と同様に時間外労働の上限規制の対象となります。
・上限規制後は?
今回の改正で、運送業(自動車運転の業務)も原則「月45時間、年間360時間」までとなり、臨時的・特別な事情がない場合、これを超えることができなくなりました。また、臨時的・特別な事情があり、特別条項の締結をした場合でも以下の時間を上回らないようにしなければなりません。
- 年960時間
・罰則は?
前述の通り、これまでの運送業(自動車運転の業務)には、時間外労働の上限はなく、当然罰則もありませんでした。しかし、2024年4月からは一般企業と同様に、罰則付きの上限となり、違反した場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられる可能性があるので注意が必要です。
・上限規制後の他業種との違いは?
運送業(自動車運転の業務)は建設業以上に他業種と大きな違いがあります。
主な違いは以下の通りです
- 年間の時間外労働の上限が960時間と他業種の720時間に比べると少し規制が緩やかである
- 「月100時間未満」、「2~6ヶ月平均80時間以内」、「月45時間を超える月は6ヶ月まで」という規制は適用されない
- 改善基準告示による「拘束時間」や「休息期間」についての基準等が設けられていて、そちらも併せて改正されてる
※「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」はこちら
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いかがでしたでしょうか。
今回は運送業(自動車運転の業務)の2024年問題について解説していきました。
次回は改善基準告示についてお話ししていきたいと思います。
36協定の締結を考えている方はもちろん、今後の労務管理等についてお悩みの方もぜひこの機会に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。