キャリアアップ助成金「正社員化コース」の拡充について
2023年12月13日
「キャリアアップ助成金」は非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。
今回はその中で「正社員化コース」の拡充についてお話していきます。
この拡充が適用となるのは2023年11月29日以降に正社員化した場合となるので注意しましょう。
・助成金(1人当たり)の見直し①
・対象となる有期雇用労働者の要件緩和②
・正社員転換制度の規定に関する加算措置③
・多様な正社員制度規定に関する加算措置④
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・助成金(1人当たり)の見直し①
支給対象期間を現行の「6か月」から「12か月に拡充。これに伴い、6か月あたりの助成額が以下の通りに拡充されます。
- 中小企業 → 57万円(現行) 80万円(拡充)
- 大企業 → 42.75万円(現行) 60万円(拡充)
現行、中小企業:1期(6か月)で57万円助成。
拡充後、中小企業:2期(12か月)で80万円助成。(1期あたり40万円)
上記は「有期から正規」の助成額で「無期から正規」の場合は半額となります。
1人目の正社員転換時には別途加算措置あり(③、④)
・対象となる有期雇用労働者の要件緩和②
対象となる有期雇用労働者の雇用期間を現行の「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和されます。
有期雇用期間が通算5年を超えた有期雇用労働者については、助成額は「無期から正規」の転換と同額となります。
※「有期から正規」の助成額の半額
・正社員転換制度の規定に関する加算措置③
新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する加算措置が新設されました。
正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換した場合、1事業所当たり1回のみ、「20万円(大企業の場合は15万円)」が助成されます。
1人目の転換時に①+③で合計100万円(大企業75万円)
なお、正社員転換制度を導入済みの企業においても、「無期から正規」の転換制度を新たに規定した場合も同額の加算措置を受けることができます。
・多様な正社員制度規定に関する加算措置④
正社員制度設計にあたり、通常の正社員だけでなく多様な正社員の選択が可能となるよう、新たに「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を規定し、当該雇用区分に転換等した場合の助成が、現行から以下の通りに拡充されます。
- 中小企業 → 5万円(現行) 40万円(拡充)
- 大企業 → 7万1250円(現行) 30万円(拡充)
これにより、助成金支給要件と加算要件の両方を満たせば、1人目の転換時に①+④で合計120万円(大企業90万円)が助成されることになります。
また、「無期から多様な正社員」の転換制度を新たに規定した場合にも、同額の加算措置を受けることができます。
最後に、キャリアアップ助成金を利用するには事前に「キャリアアップ計画書」を管轄の都道府県労働局へ提出しなければならないので注意しましょう。
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いかがでしたでしょうか。
今回はキャリアアップ助成金の「正社員化コース」の拡充についてお話していきました。
これから正社員化を制度化しようという企業はもちろん、現在正社員化の制度を運用しているが、拡充された部分に該当する規定を新たに検討されている方もぜひこの機会に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお問い合わせください。