気を付けよう!~固定残業制度の適正な運用にむけて~
2023年12月7日
前回のお話の中で、固定残業制度自体は違法ではない。ただし正しく運用しないと違法となってしまうケースがあるとお伝えしました。
固定残業制度の運用を正しくできていない場合、残業代を支払ったとみなされず、その結果、賃金未払いとなり労働基準法第24条違反となってしまいます。
今回は固定残業制が違法となってしまうケースについてお話していきます。
・個別の合意、または周知がないケース
・基本給に固定残業代が含まれている場合で、固定残業代の金額が不明なケース
・最低賃金を下回っているケース
・規定時間を超えた分の割増賃金が支払われていないケース
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・個別の合意、または周知がないケース
固定残業代制を導入するには、労働契約上の根拠が必要となります。
そのため、以下のことに注意が必要です。
- 労働契約書や労働条件通知書などによる個別の合意がない
- 就業規則に固定残業代の規定がない
- 固定残業代制が周知されていない
・基本給に固定残業代が含まれている場合で、固定残業代の金額が不明なケース
固定残業代は「残業代として、何時間分いくら支払われているのか」が明確である必要があります。
例えば、「基本給30万円(固定残業代含む)」となっている場合は、無効となり残業代の支払いとは認められないので、「基本給27万円、固定残業代3万円(24時間分)」といったように、記載するようにしましょう。
・最低賃金を下回っているケース
固定残業代は基本給に含まれていることも多いため、一見すると給与の支払い額が多く、最低賃金を上回っているように感じる場合でも、最低賃金は固定残業代を除いて計算しなければならないため、注意が必要です。
・規定時間を超えた分の割増賃金が支払われていないケース
固定残業代制は、固定残業代を支払えばそれ以上の残業代を支払わなくてもよいという制度ではありません。会社は、労働者があらかじめ想定した残業時間を超えて残業した場合には、超過した残業時間に応じて別途残業代を支払う必要があるので注意しましょう。
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いかがでしたでしょうか。
今回は、固定残業制が問題となってしまうケースについてお話していきました。
今回挙げた以外にも問題となるケースは他にもあるので、固定残業代を取り入れたい、取り入れているが正しく運用できているか確認してもらいたい等、ご相談があれば社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。