これって労働時間?指揮命令下とは?
2024年1月18日
労働時間に関する明確な定義は労働基準法にはありませんが、過去の様々な判例で労働時間は「使用者の指揮命令下にあれば労働時間にあたる」と解釈されています。
この中に含まれるのは、実際に業務をする時間だけではありません。
今回はどのようなケースが労働時間に含まれるのか、学んでいきたいと思います。
・指揮命令下とは?
・手待ち時間とは?
・健康診断や特殊健康診断は?
・トラックの助手席での仮眠時間は?
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・指揮命令下とは?
「使用者の指揮命令下」とは、会社が業務命令をしているかを表す基準です。会社の業務命令で行動している時間を労働時間と言います。この中には、明示的な命令だけではなく、黙示の命令も含みます。
「今日は〇時まで残業するように」と明示的な業務命令だけではなく、過剰なノルマや厳しい期限がある業務の命令は黙示の命令にあたる可能性があるので注意しましょう。
例:飲食店において制服の着用を義務付けられている場合、着替えの時間も労働時間にあたる可能性があります。
・手待ち時間とは?
手待ち時間とは、労働時間内において、作業中ではないものの、指示があればすぐ従事できるように待機している時間のことを言います。
休憩時間中に電話が鳴れば対応するといった場合、このような時間は使用者の指揮命令下にあるとされ労働時間扱いになることがあるので注意しましょう。また、休憩時間中に外出を禁止するなどといったことは原則、使用者の指揮命令下にあると判断される可能性があります。
・健康診断や特殊健康診断は?
一般の定期健康診断については、特に所定労働時間内に実施する義務はありません。もっとも、できるだけ労働者の便宜をはかり、所定労働時間内に行う方が望ましいです。
なお、特殊健康診断については、所定労働時間内に行わなければならず、時間外などに実施すれば、その時間について割増賃金を支払う必要があります。
つまり、一般的な健康診断は労働時間ではなく、特殊健康診断のみが労働時間にあたるということです。
・トラックの助手席での仮眠時間は?
2人乗務時の助手席の仮眠時間も上記の手待ち時間と同様に労働時間と認められることがあります。
しかし、トラック運転手の労働時間に関しては、運転時間以外にも休憩をしたり、荷物の積み込みの待ち時間等、自由にできない時間があるため特別に改善基準告示で拘束時間として定められています。
詳しくはこちらをご覧ください。
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いかがでしたでしょうか。
労働時間と聞くと、業務をしている時間だと思っていた方もこの記事を読んで、考え方が変わったことだろうと思います。どういったことが労働時間として扱われるのかを把握することは、労務管理をする上で非常に重要です。労働時間についてや、労務管理についてご相談があればぜひ社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。