割増賃金の算定から除外できるもの、できないもの
2024年7月25日
使用者は時間外労働や休日労働、深夜労働などを行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。
そんな中、割増賃金を算出する際にどういった手当を含めるのかわからないといったことはないでしょうか。
今回は割増賃金の基礎となる賃金についてお話していきます。
【目次】
・それぞれの割増賃金率
・時間外労働が深夜や休日労働と重なった場合は?
・1時間当たりの賃金額の求め方
・「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるもの
・除外できる手当の具体的範囲について
—————————————————————————————————————————————
・それぞれの割増賃金率
それぞれの割増賃金率は以下の通りです。
- 時間外労働:2割5分以上
- 休日労働:3割5分以上
- 深夜労働:2割5分以上
※1か月60時間を超える時間外労働については5割以上となります。
・時間外労働が深夜労働や休日労働と重なった場合は?
時間外労働が深夜労働(午後10時から午前5時まで)と重なった場合は5割以上(2割5分+2割5分)、休日労働と重なった場合は6割以上(2割5分+3割5分)の割増賃金を支払わなければなりません。
・1時間当たりの賃金額の求め方
割増賃金の算出にあたり、1時間当たりの賃金額は以下のように求めます。
- 時給:時給が1時間当たりの賃金額
- 日給:日給額÷1日の所定労働時間
- 月給:月の所定賃金額÷1か月の(平均)所定労働時間
- 年俸:年俸額÷12÷1か月の(平均)所定労働時間
・「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できるもの
上記で求めた1時間当たりの賃金額に割増率と労働時間をかけて算出する割増賃金ですが、以下の手当は労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されていることなどにより、基礎となる賃金から除外することが出来ます。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
・除外できる手当の具体的範囲について
家族手当、通勤手当、住宅手当については割増賃金の算定から除外できるものとできないものがあるので注意しましょう。具体例は以下の通りです。
【家族手当】
- 除外できる例:扶養者の人数に応じて支給するもの
- 除外できない例:扶養者の有無にかかわらず一律支給されるもの
【通勤手当】
- 除外できる例:通勤にかかる費用に応じて支給される者もの
- 除外できない例:通勤にかかる費用にかかわらず一律支給されるもの
【住宅手当】
- 除外できる例:家賃等に応じて支給される者もの
- 除外できない例:持ち家や賃貸などにより一律支給されるもの
—————————————————————————————————————————————
いかがでしたでしょうか。
今回は割増賃金の算定から除外できる手当等についてお話しました。
誤った給与計算をして割増賃金を支給し、発覚した場合にはトラブルに発展しかねません。また、調査が入った際には遡及して賃金を支払わなければならない可能性もあります。そういったことを防止するためにも是非この機会に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。