固定残業(みなし残業)制度とは?企業のメリットと導入時の注意点
2023年11月30日
固定残業(みなし残業)制度とは、企業が従業員に支給する給与について、あらかじめ一定時間分の時間外労働代を給与に含めることです。正しく運用すれば大きなメリットもありますが、残業代の未払い等注意が必要なことがいくつかあります。
今回は固定残業制度について、導入時のメリット・デメリットとポイントをお話していきます。
・固定残業代とは?
・固定残業導入のメリット
・固定残業導入のデメリット
・固定残業制度を導入する際のポイント
———————————————————————————————————————————————
・固定残業代とは?
固定残業(みなし残業)代とは、実際の残業時間に関わらず定額で支払われる残業代のことです。
例えば、固定残業時間が20時間、固定残業代が25,000円と設定されている場合、実際の残業時間が10時間だったとしても、固定残業代として25,000円支給する必要があります。
通常、従業員が労働時間外に業務を行えば、企業は基本給のほかに残業代を支払います。企業が固定残業制度を導入していると、一定時間内の残業代が給与に含まれている為、従業員に残業代を支払う必要が無くなります。ただし、あらかじめ定められた時間を超えた残業が発生した場合には、別途残業代を支払う必要があります。
・固定残業導入のメリット
固定残業導入の際は自社にとってどのようなメリットがあるのかを十分に理解する必要があります。
ここでは固定残業を導入するメリットを紹介します。
- 残業代計算が簡略化される
- 人権費を把握しやすくなる
- 業務効率が上がる可能性がある
固定残業の規定時間までであれば残業代の計算が不要であり、人件費の把握はしやすくなります。
また、労働者から見たメリットとして、業務を効率化すれば収入を維持しながら時間を確保できるという点もあります。
・固定残業導入のデメリット
固定残業にはメリットのほか、いくつかのデメリットも存在します。デメリットを理解した上で導入を検討するのが良いでしょう。
- 固定残業代発生で人件費が上昇する可能性がある
- 管理者の誤解で長時間労働に結び付きやすい
固定残業を導入すると、残業してもそうでなくても従業員に支給される給与はほぼ一定なので、定時に帰社するため業務効率が上がるかもしれませんが、逆に、「一定時間内は残業させても問題ない」「一定の残業代をもらっているのだから定時退社させたくない」という誤解が生じやすいので注意が必要です。
・固定残業制度を導入する際のポイント
固定残業制度を導入する際には、後々トラブルを招くことのないように以下の点に注意しましょう。
- 就業規則、雇用契約書に明記する
- 労働時間を把握する
- 固定残業時間を規定し、超過分は別途清算する
———————————————————————————————————————————————
いかがでしたでしょうか。
今回は固定残業についてお話していきましたが、固定残業制度に限らず、あらゆる制度は正しく運用しないと違法となってしまう可能性を含んでいるので注意が必要です。
次回は固定残業制が違法となってしまうケースについてお話していきたいと思います。
固定残業制を取り入れたい、取り入れているが正しく運用できているか確認してもらいたい等、ご相談があれば社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。