出産育児一時金と出産手当金の違いとは?
2024年6月6日
妊娠・出産は病気ではないという解釈から、出産の際、基本的に公的健康保険は利用できませんが、妊娠・出産となると、検診や分娩でかなりの費用がかかるのも事実です。
そのため、経済的負担を和らげるための制度として、「出産育児一時金」と「出産手当金」が設けられています。名前が似ているため混同しがちですが、実際は全く違う制度です。
今回は「出産育児一時金」と「出産手当金」の違いや申請方法をお話していきます。
【目次】
・出産育児一時金とは?
・出産育児一時金の支払い方法
・出産手当金とは?
・出産手当金の支給額は?
・出産手当金の申請はどうする?
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・出産育児一時金とは?
出産育児一時金とは、国民健康保険や本人・配偶者が加入している健保組合や共済組合から支給される一時金のことです。
妊娠4ヶ月(85日以上)で出産等(中絶、流産、死産も含む)をした人を対象として支給されます。
支給額は以下の通りです。
- 妊娠週数22週以降に出産した場合:1児につき50万円
- 妊娠週数22週未満で出産した場合:1児につき48万8千円
※産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合も1児につき48万8千円です。
・出産育児一時金の支払い方法
出産育児一時金の支払い方法は主に3つの方法があります。
- 直接支払制度:申請も受け取りも本人に代わり、分娩先の医療機関が行い、加入している保険組合等から医療機関へ直接支払う制度
- 受取代理制度:医療機関が「直接支払制度」に対応していない場合、出産予定日の2ヵ月前以降に申請書類を健保組合等に提出します。
- 産後申請制度:医療機関の窓口で一度医療費を支払った後、健保組合に申請書類を提出する。
※直接支払制度で差額が生じた場合、不足分は自己負担となり、余剰分については別途請求が必要です。
・出産手当金とは?
出産手当金は、
- 被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産したとき
- 出産日(出産日が予定日より後日の場合は出産予定日)以前42日から出産日の翌日以降56日までの範囲内で
- 会社を休み給与の支払いがなかった期間
を対象として支給されます。
※多胎妊娠の場合は産前の期間が98日となります。
また、出産手当金の対象は、健康保険制度の被保険者であるため、被扶養者や任意継続被保険者、国民健康保険制度の加入者は対象となりません。
・出産手当金の支給額は?
支給される出産手当金は以下の計算式で算出されます。
- 1日当たりの出産手当金の額=支給開始日の以前12ヵ月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合等はこちらでご確認ください
・出産手当金の申請はどうする?
従業員から妊娠の報告を受け、産休の申し出を受けたら「健康保険出産手当金申請書」を産休前に渡すようにしましょう。
申請書には「被保険者記入用」と「医師・助産師記入用」があるため、どちらも記入を忘れないように伝えましょう。
従業員が産休を終えたら申請書を受け取り「事業主記入用」に必要事項を記入し提出しましょう。
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いかがでしたでしょうか。
今回は「出産育児一時金」と「出産手当金」の違いや手続き方法をお話しました。
普段多い手続きではないため、わからない方もいらっしゃると思います。こういったお手続きの代行やお悩み事がある方は是非この機会に社会保険労務士法人Aimパートナーズまでご連絡ください。